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現代アート/やなぎみわ『婆々娘々』

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やなぎみわさんは今開催中のベネチアビエンナーレ・日本館に出展中でもあり旬と言えば旬な作家さん。ベネチアのコミッショナーを務められている南嶌宏さんとのトークショーがあった日に、はるばる大阪まで出かけて、拝聴してまいりました。





やなぎさんは写真で見る限り、個性的な顔立ちだし、勝手にエキセントリックな人かと思ってましたが、実際にお話を聞くと普通の人(悪い意味ではなく)でした。ベネチアに出展することになった経緯や、準備段階の裏話を訥々としゃべっておられました。この裏話は、ベネチアに行ったことのない私にとっては、とても面白くて、へ〜って思うことが多々ありました。

以下、やなぎさんが分かりやすくお話されていたビエンナーレの基本情報をかいつまんで。
まず、ビエンナーレはベネチア市街地にある緑豊かな公園を会場としていて、何十カ国かの恒久的パビリオンがある。日本館は設立当時、日独伊同盟の関係性もあってかなりいい位置に建てられているため、毎回多くの観客が訪れる。日本館(吉阪隆正の設計による)が完成したのは1956年で、建物自体は相当古びており、メンテナンスがかなり大変。しかし、モダニズムの名建築と言われており、現在まで大事に使われている。

やなぎさんは、この建物に黒テントをかぶせた。そして建物内には超大型作品(4メートル×3メートル)を、展示。そのため独特の建物の構造が隠れてしまっている。「挑戦的だ」とも言われたらしい。今にして思えば、どこかにそういった気持ちがあったかもしれない、とやなぎさん。

黒テントを張るのも相当大変だったとのこと。まず建物の回りに木がわさわさと生い茂っており(写真見たけどまるでジャングル)、建物にも多いかぶさってきている。でも、これらの枝葉を切ってはならないというルールがあり、国の?緑化委員みたいな人がまめにチェックに来ているとのことで、その枝葉の位置を図面に丁寧に書き込んで、それを避けるようにテントの構造を決めたらしい(大変そうだ・・・)。

とにかく妥協をしないやなぎさん(コミッショナー談)。クレーン車を持ち込んでギリギリまで作業をしていたため、かなり注目されていたらしい。ちなみにベネチアは水で囲まれた町なので、何もかもを船で運ばなければならないため、それが全作家にとって悩ましいことらしい。クレーン車も船で運んだため、これも相当目立ったとのこと。

毎日遅くまで作業をして歩いてアパートまで帰っており、白夜で空が明るく、遠くアルプスが見えることもあり、その景色に励まされたんだそう。そして無事オープニングも終え、帰国間近になったとき、ベネチアが浸水してしまう騒ぎがあった(よくあることらしい)。道という道が薄汚れた水で通行止めになり、犬の糞がプカプカ浮いていたり、とにかく汚い。でもそんなとき空を見上げたら、なんとも美しい満月の夜だった。やなぎさんはそんな清濁入り交じるベネチアが好きだと話された。

以上が、やなぎさんがお話しされた簡単な簡単な要約。

さて、国立国際美術館では、このベネチアで発表された『Windswept Women Series』が出展されてます。ほとんどベネチアでの展示と同じ形式で展示されてます。4×3メートルの大型作品は大迫力。あとはグランドマザーシリーズとフェアリーテールシリーズも展示されてます。

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やなぎみわ『婆々娘々』
国立国際美術館(大阪、中之島)
2009.6.20-9.23
by pfart | 2009-08-01 12:04 | ART/写真展